いつでもコッコ日和 第17号

自然養鶏に避難小屋は必須です…

 ニワトリはもともと極めて社会性の高い生き物で、従来はオス1羽に対して10羽から30羽のメスがパートナーとしてハーレムのような状況で暮らしていたといわれています。そしてその集団の中で明確な順位付けがされていました。

COCCO相木ではオス5羽にメス100羽を基本単位として飼育していますが、この数がそもそもニワトリ本来の自然な状況ではないのです。十分に広い鶏舎とそれ以上に広い庭を整えていますが、ひとつの山全体にオス1羽・メス30羽といった自然の状況から比べると、集団の数、テリトリーの広さともに自然ではないのです。

そしてこの数・広さの中で順位付けが行われるので、無理が生じ、集団内でのイジメの問題が発生します。自然界でもイジメ自体は存在するのでしょうが、数・広さの問題でそれほど深刻にはならずに済みます。

イジメには2つの要因があります。ひとつは体の大小によるイジメ。初生ヒナの段階では成長差もないので順位もないのですが、成長するにしたがって性格による個体差が出てきます。食に貪欲なピヨ、砂浴びなどのんびりするのが好きなピヨ、常に虫などを追いかけてせかせか動き回るピヨ…。成長するに従って体の大きなピヨは集団内での順位を上げ、小さなピヨにちょっかいを出すようになり、それがイジメへとなります。

もう一つは性格そのものに起因するイジメ。同じニワトリでも性格はさまざま。好奇心旺盛なコッコもいればもともと好戦的なコッコ、周りに無関心でひたすら自分の興味あることに専念するコッコ、そして常におどおどしているコッコ、大人しく優しいコッコ…。おどおどしたコッコは好戦的なコッコの恰好の標的になります。

どちらのイジメもちょとしたちょっかいで終わる程度ならそれほど問題にはならないのですが、嘴でつつき、つつきしていると流血することもあります。ニワトリは赤いものをつつくという習性があるので、いったん流血すると、周囲のコッコからもつつかれ、最悪は死に至る事態になってしまいます。

 そこでどうしても必要になってくるのが、イジメられているピヨやコッコを一時避難させる避難小屋です。体の大小によるイジメの場合は、時間をかけて十分に餌を食べさせればいずれは体の大きさにそれほどの差異はなくなります。そうしてから集団に戻せば、戻した直後は多少のトラブルは生じますが、最終的には集団に馴染んでいきます。

性格に起因するイジメの場合も、避難小屋に避難させ、周囲からの恐怖を取り除きのんびりゆったりと過ごさせることで多少は落ち着き、時間をかけてゆっくりとリハビリすることで集団に戻れることが多いです。

以前、このコッコ日和第3号でお伝えした、極端な内弁慶で集団内のオスはおろかメスにも追い掛け回されて集団に馴染めなかったオス、白ちゃんも、かなり長い間1羽で自由気儘な生活を謳歌した結果、もとの集団には戻れませんでしたが、1年先輩の集団の中で、何とかやっていけるようになりました。

また、順位争いなどで喧嘩をし、怪我をした場合も、その怪我が治るまで避難させるのにも、避難小屋は必要です。十分にのんびりできるよう、ケージではなくきちんと庭付きの小屋で、色々なコッコが入る可能性があるので少なくとも2つくらいに分けられると良いなと思います。

COCCO相木では育雛舎を避難小屋として代用しているほか、小さな避難小屋があるきりなので、もう少し充実させなければならないかなと思っています。

体が小さいのは、小さいから餌が食べられないのか、餌が食べられないから小さいのか。餌を鶏舎全体にばらまくことである程度解消できますが、性格の問題で食べるのが遅かったり、食べることよりも他に興味があるというピヨ、コッコに対してはある程度の期間、避難小屋に隔離させないとダメかなと思います。

イジメがあるから、餌の食べ方で個体差が生じるから、というのを理由に1、2羽ずつ分けてケージ飼いにするのは問題をすり替えるだけで根本的に解決する方法ではないような気がします。ある程度の数の集団で生活する上ではイジメが発生する可能性があるということを前提に、それにどう対応していくのかを考え、対策を練っていくことが必要な気がします。試行錯誤ですが。

 何か他人ごとではない気がしますが(^_^;)