COCCO相木の考える自然養鶏

 自然=野生と養鶏とは本来相反するもの。それを前提とした上で、鶏がなるべく鶏本来の習性や本能を尊重した暮らし方ができるようお手伝いすること、それがCOCCO相木が考える自然養鶏です。自然に近い環境を整えた上で、あとは鶏まかせ自然まかせ。足りない部分を補うというスタンスです。人間都合ではなく、鶏都合での飼育を目指します。生き物として「心身ともに健康」に育つことが健康な生命力の強い卵を産むために重要であると考えます。

①十分なスペース、日中は放し飼い

 「平飼い」の中でも飼育密度には差があり、「地鶏」の定義には「飼育密度が1平方メートル当たり10羽以下」とありますが、COCCO相木では1平方メートル当たり2羽未満。十分なスペースを確保しています。しかも日中はその倍以上の広さの庭に放し飼い。自由に鶏舎と庭とを行き来できます。

 鶏たちは気の向くままに鶏舎を出て日光浴や砂浴びを楽しみます。砂浴びは、体がすっぽりと入るくらいの穴に収まって地面に体をこすりつけ羽や皮膚についた汚れや寄生虫を落とす行為。健康維持には欠かせません。そして土をついばみ虫を探します。大きなミミズを見つけたら鶏どうし奪い合い広い敷地を走り回ります。日が暮れ始めると鶏舎の中で、一斉に高いところを求めてうろうろし始めます。これは身を守るための場所を本能的に探す行為。COCCO相木では全羽数が乗れる十分な止まり木を用意しています。

このように鶏たちの本能的な欲求をできる限り満たすことを大切にしています。

②オスもメスも一緒

  オスは卵を産みません。でも餌は食べます。経営的には費用がかさみますが、COCCO相木ではオスもメスも一緒に暮らしています。オスを飼う理由は、メスに安心感を与えるため。オスは餌を食べている時なども含め、常に外からの危険に対して気を配っています。空をカラスや鳶など鳥が飛んでくると注意を促します。オスには群れを守る、群れの統一を図るという役割があります。また、より自然界に近い飼育環境にするためという意図もあります。

③安全な餌

 内容物や添加物に不安のあるメーカー配合飼料は使わず、自家配合の発酵飼料を中心に与えています。お米をベースに、地場の腐葉土に土着する菌で発酵させ、できるだけ自然界で食べるであろう状態に近づけています。

④発酵床

 鶏舎にはもみ殻や糠、草、わら、落ち葉などを運び入れ、有機物が発酵して腐葉土になるという自然の循環を促し、自然豊かな森を再現しています。鶏糞も分解されて無臭化します。

⑤鶏まかせ自然まかせ

 COCCO相木の飼料は低カロリー、低タンパクの粗飼料です。ゆっくりと育てて十分に体が充実してからの初産になるよう気を付けています。一般的な養鶏では生後150日前後で初産を迎えますが、COCCO相木では200日以上かけて初産を迎えます。また、体躯が整う前に日長になると早めに初産を迎えてしまう危険があるので、初生ヒナの導入時期も夏初期としています。この他、強制換羽や日短の時期の光調整など、卵を効率的に産ませるための人工的な措置は一切しません。こうして鶏たちに無理な負担をかけず健康で生命力の強い卵を産めるようにしています。産卵量も鶏まかせ自然まかせです。

⑥それでもストレスはある

 鶏本来の習性や本能を尊重した暮らし方を実現すれば鶏たちはノンストレスで暮らせる、とは考えていません。集団で暮らせば、鶏たちの間には序列が生まれます。序列の低い鶏たちは序列の上の鶏たちからいじめを受けます。餌にもなかなかありつけなくなります。こうした弊害は必ず生まれ、それがストレスとなります。

 しかし、だからと言ってCOCCO相木では狭いケージに閉じ込めることでこれらの弊害に対処しようとは思いません。そのストレスをどう軽減し、ストレスに負けないようにするか、別の方法で対処します。十分に広いスペースを確保して逃げ場を作り、餌を食べる場所も広くとりゆったりと食べることができるようにすることによりかなりの部分は軽減できます。また、ストレスに負けない健康な体作りも重要です。ストレスがあることを否定するのではなく、軽微なストレスにすることによって適度な緊張感を持たせることも必要であると思っています。

 どうしても集団になじめない場合は、一時的に別飼いして対処します。

 


 鶏たちがアニマルウェルフェアの理念に掲げる5つの自由(飢えおよび渇きからの自由、不快からの自由、苦痛・損傷・疾病からの自由、正常な行動発現の自由、恐怖および苦悩からの自由)を確保することができるよう、お手伝いをすることが自然養鶏と考え、日々努力しています。